2022年1月29日イントゥ・ザ・ウッズ(日生劇場)
2Fの上手サイドブロック
上手端のソファベッド(たぶん重要なセット)が見切れてもS席かあ。
散々語られている感想と大して変わらない感想を抱いた。が、それでもギリ伝わる作品の良さに、本来の脚本がものすごく良いんだなと思った。
世代から世代へと受け継がれる呪いと絆、そういう物語の物語、ほんとにたまらんね。
「本物」だったらそういう良さがもっとちゃんと味わえたのだと思うと、あまりに悔しい。ああ『イントゥ・ザ・ウッズ』が観たい。
事前の口コミで「ミュージカル俳優以外に拍手が起きない」と聞いて、それは望海さんファンが多いからってのが多いんじゃないかと思ってたけど、それだけじゃなくこれは…というレベルだった。
口直しするために映画を見直そうかと思ったけどあれもたいして良くなかったんだよな。
歌もとにかくアレだったけど、個人的にはそれより訳詞が合わなかった。訳詞のために元の詞や脚本の内容が取りこぼされるのがキツかったし、ダサかった。
訳詞以外だと、ジャック母の衣裳(後半)とかも冗談きつい…。言いたいことは一応分かるし、この演目以外でやれば面白いかもしれないけど、わざわざこの演目にあてるのやめて。そういうところ含め内輪受けで作った感があったのだが、パンフを読む限りは結構真面目に作った形跡があり……。なぜ?
とはいえ歌や演じ方にもコメントを出さずにはいられない。台詞や歌の発声がお遊戯会だとか、一応歌えてはいてもミュージカルとして供するだけの要素はそろっていないとか、歌すら歌えてないとか、それぞれに難があった。そういうのが一人いる、くらいなら他の舞台でも儘あるけど、今回は勢ぞろいしていた。俳優なり歌手なり本当はそれぞれの魅力があるだろうに、それに見合わないキャスティングをされてるのが気の毒だった。
望海さんが歌い出すと、突然ミュージカルの声が聴こえてきてむしろ動揺する。
福士さんは背中から落ちるステージングにびっくりした。身体能力が俳優だなあ。いや舞台に舞台俳優が立ってるだけで感慨深くなっちゃうのおかしくね?
でも目の前の演者が舞台俳優であるどうかという点がこんなに意味を持つ観劇体験もなかなかなかった。例えば舞台俳優じゃない人たちのストップモーションの下手さにびびった。あれは訓練して身につく技能なんだよ…。
「舞台俳優以外は舞台立つな」とは言わないが、少なくともこの作品で、この演出なら、必要最低限の技能を持った人がやらないと成立しないのでは。
カテコでオケが終わった時に拍手したらまた演者たちが出てきて困惑した。申し訳ないけど、呼んでない。
舞台上の余白も微妙に気になった。
クレジット
作曲・作詞:スティーヴン・ソンドハイム
作:ジェームズ・ラパイン
演出:熊林弘高
翻訳・訳詞:早船歌江子
音楽監督・指揮:小林恵子
キャスト
シンデレラ:古川琴音
継母:毬谷友子
継姉:湖月わたる
継姉:朝海ひかる
王子:廣瀬友祐
執事:花王おさむ
ジャック:福士誠治
母親:あめくみちこ
ラプンツェル:鈴木玲奈
ナレーター・謎の男:福井貴一
夫:渡辺大知
妻:瀧内公美
魔女:望海風斗
巨人(声の出演):麻実れい
<スウィング>
則松亜海 杉浦奎介
<パフォーマー>
井上尚子 梶田留以 児玉彩愛 渋谷亘宏 西田健二 矢嶋美紗穂 吉﨑裕哉