観劇鑑賞メモ

諸々の自分用メモです。4季のオタクです。

2023年12月24日東京ローズ(新国立劇場小劇場)

1階席後方



大反省です。
生理中だったせいか眠気がすごくて、寝るまではいかなかったと思うけど、意識が朦朧としてた部分が多かった。
お腹痛くなってもいいからコーヒー飲んでおけばよかったよ!

ほとんどの場面で台詞や歌詞が情報として入ってこなくて、おそらく感情表現より歴史語りに重きをおいたミュージカルであるだけに、受け入れ体制としては致命的であった。
特に1幕のアイバがアナウンサーになるまでのくだりがよく分からず。多分ここを押さえてないと、2幕の裁判シーンに立ち向かえない。

日本公演が決まる前から気になってた作品で、その日本公演も口コミが良くて楽しみにしていただけに、勿体無いことをしたという気持ちでいっぱいである。

その低解像度を前提とした感想です。


・オープニングナンバー、Burnt Lemon Theatreで作られたリリックビデオをとても気に入っていたから、あの歌詞どんな風に訳すのかな〜と楽しみにしてたんだけど、なんか…同曲ではないのか……?と思うくらい情報量が違った。
逐語訳と同量が入ることはまずないとは思うけど、日本語歌としてのクオリティやオープニングナンバーとしてのハマり方を重視したのか、英語で印象的だったフレーズやそのニュアンスを捉えられなかった。

・あとこれはリリックビデオの見過ぎかと思うけど、期待していたビジュアルと、お出しされたステージングに差があった。
ただ歌は一級品で、良いもの観てる〜という感じがあった。マイクをあまり使ってないのか、バンドも歌も舞台の方面からのみ音が聴こえている状態で、よく聴こえるけど没入感には欠ける。マイクに頼らずに、バンドがありながらあれだけの歌声が出せるのは素晴らしいと思う。
(Burnt Lemon Theatreの写真を見るとハンドマイクを持っているので、その印象の違いも大きいのかな~。Steven SaterとDuncan Sheikの『春のめざめ』みたいな)
ステージングと音響については、このオープニングナンバーの感覚が、終始続くことになる。

・アイバの描き方にも想像と違う印象があった。
なんかもっと、不敵にほほえみながら歌う感じかと……(勝手な思い込み)
でもこの「知られざる物語」の主人公は、歴史に巻き込まれたひとりの普通の人間なので、そんなメキメキに強そうな描き方をされてたら却っておかしいよね。

・少人数で色んな人物を演じ分ける方法は好きだからこれも気に入ると思ってたんだけど、なんかあまり……響かなかったな……。

これには色々要因があると思う。
①アイバ自身も全員で順番に演じるので、他の役がアンサンブル制(というのかな)をやってることとの区別が曖昧で、それぞれの演出意図が見えづらくなっていた。
そもそも、なぜアイバを「語り継ぐ」演出を(藤田さんは)つけたんだろう。「アイバが特別な存在というわけではなく、誰でもどの世代でもその人になり得るよね」って意味なのかな。でもそれだったら、アイバを女性だけで演じるのってなんか勿体なくない?劇の前提崩れるが。

②アイバ以外について、演じ分ける度に衣裳や髪型がきっちり変わるから、同じ人が色んな役をやってることが分かりにくい。「普通のアンサンブル」っぽい。人の顔を見分けるのが苦手な私には、みんな似て見える。
ベースの衣裳は固定にして、羽織物や帽子などのアイテムで簡単に分ける訳にはいかなかったんだろうか。ってそれカムフロムアウェイか。
あと同じ役でも違う人が演じたりする(してたよね…?)し、「あの役をこの役と同じ人がやってる」みたいな面白みは求められてないっぽい。

③これは予想外だったんだけど、男性役の違和感が思った以上にあった。シルエットが違う。今まで他の男役や異性装をそう感じたことはなかった。
一方で、話し方などは全く気にならなかったので、私にとって見た目とはそんなに重要だったのかと、自分がそこを気にしているということにちょっと落ち込む。


・脚本についての感想。
歩んできた道を「選択」と称されて裁かれるの、刑罰を抜きにしても、ひとりの人間としてキツイな。
個人の選択が、それぞれ何らかの意思や意図と関係するのか、あるいは関係しないのかを説明することって、自分でも難しいから、それを検察や弁護人という他者が法の下で行って陪審員という観客を巻き込んでいることの歪さ。
その表現が秀逸だったと思う。

・みんなうまかったけど、特に飯野さんがミュージカルの歌い方としてすご〜くうまかった。
声がすっきり伸びていて、言葉としても音としてもよく届く。

・記者の人だったか検事の人だったか、パワー系のシンガーがいてとても格好良かった。


スタッフ
【台本・作詞】メリヒー・ユーン/カーラ・ボルドウィン
【作曲】ウィリアム・パトリック・ハリソン
【翻訳】小川絵梨子
【訳詞】土器屋利行
音楽監督】深沢桂子/村井一帆
【演出】藤田俊太郎
【振付】新海絵理子
【美術】原田 愛
【照明】日下靖順
【音響】黒野
【衣裳】宮本宣子
【ヘアメイク】井上京子
【演出助手】大舘実佐子
【舞台監督】棚瀬 巧

キャスト
飯野めぐみ
シルビア・グラブ
鈴木瑛美子
原田真絢
森 加織
山本咲希