観劇鑑賞メモ

諸々の自分用メモです。4季のオタクです。

2023年3月21日昼ミュージカルおとこたち(PARCO劇場)

ストプレ版は未見です。
WOWOW撮影回だそうです。
トークショーあり。

・「二幕冒頭に約2分間大きな音と暴力的な表現があるため苦手な方は耳を塞いで」のアナウンスあり。私はあとから「あそこかな?」と思った程度だったけど、トラウマがある人はだめかもしれない。

・老人ホームの「うん?」「ああ」などの宙に浮いた相槌がいつの間にかリズムに乗ってラップ調になる冒頭シーンが一番ミュージカルぽかった。

・演出と脚本が良いから楽しめるけど、ミュージカルとして歌が歌である必要性や意義が宙ぶらりんになるところがあると思った。

・お話は良かったけどカラオケシーンで観客が訓練されすぎてて手拍子しすぎてるの、全然話伝わってなくない?ミュージカルの観客が来すぎてない?と心配になった。分かった上で全力で悪ノリしてるのかな……。

・藤井さんは本当に天才肌の芝居って感じがする…。息子のラストの再生シーンの苦々しい表情、ツガワの演技と打って変わってすごい。



以下、トークショーの記録

岩井さん
・小川さん演出のFUN HOMEを観劇したことがきっかけでおとこたちのミュージカル版を作ろうと思った。
・いつも作るのは実際にいる人に取材するスタイルの作品だからミュージカルになると思っていなかった(ミュージカルといえばサイゴンレミゼと思ってた)が、FUN HOMEを観たときに「小さな家族だからこそ歌で普遍的な繋がりが描けるのかも」と思いミュージカルを作る方に向いた。観てなかったら作ってなかった。

小川さん
・FUN HOMEは今のところ自身唯一のミュージカル作品
・ミュージカルのことは何も知らなかったが色んな方(出演者、音楽監督など)に助けてもらった。
・なぜここに歌があるのか、前奏があるのか、といったことに理由があると知った。

岩井さん
・なんでさっきまで悲しそうだったのに歌うんだろう、体内ごと歌になるんだろうというのが疑問だったから、台詞から段々歌になるのがやりたかった。そういう表現をFUN HOMEで観て必然性を感じた。

小川さん
・あれは台本の規定なので自分の演出ではないです。


(翻訳→日常会話へ言葉を作るのも大変だったでしょうという話に触れた後で、今作の台詞→歌のポイントの話に)
岩井さん
・吉原さんやさとしさんは時によって台詞になる所と歌になる所が違う。メロディはあるけど、詩にするか歌にするか等は任せている。
・歌詞は岩井さんが担当し、最初は前野さんと曲作りをして、その過程で吉原さんを呼んで歌ってみてもらいながら(無茶振り)メロディづくり・歌入れをした。
オリジナル版でチャゲアスを使っていたところも新しい曲を作った。

小川さん
ラップ調の曲から、感情を揺さぶられる曲まで幅広くあった。
岩井さん
・基本はラップ調だが、それをラッピーと名付けた。オラオラするラップとは違う感じ。リズムに乗ったり乗らなかったりしながら台詞としての流れは忘れないようなもの。(同じリズムを使うことで?)それが登場人物二人の共通する何かを表せたりする。
・「リプライズ」も今回初めて知った。その曲を一度歌った登場人物が居ないときに流しても、ちょっとだけ居ることになる。

小川さん
稽古はどのくらい?
岩井さん
1ヶ月半。3〜4収監は美術あり。バンドは初めからいた。
小川さん
・FHではバンドがいたのは最後の1週間位で、それまでピアノだった。(違ったらごめんなさい。とのこと)

・2幕入ってからの家族のやり取りにキュッとなった。喋らなくなっていく過程が説明がなくても分かる。岩井さんの作品には、メインじゃなくても体温が分かるような、人生のかけらとして絶対なにか分かるものがあるのがすごい。

岩井さん
・自分の父はプライドが高く、自分もそうなる恐怖なあった。このプライドのまま老いたらカウンターがくる。老人ホームを取材したときも男性は女性と比べると自分で入ってこれない。また自分の現役時代の名刺交換をしたがる。すごく分かると思った。
・風呂の(脱衣所で遭遇する)シーンは想像。
・手品のシーンはほぼ100%娘のこと。
・オリジナル版初演時に出演者のエピソードを反映した。津川も実際の人。トイレに落とす前まで。落としたのは他の人。おかしな人の話をよく聞く自分は恵まれていると思う。


クレジット

脚本・演出
岩井秀人

音楽
前野健太

出演
ユースケ・サンタマリア 藤井隆 吉原光夫
大原櫻子 川上友里/橋本さとし
梅里アーツ 中川大喜

演奏
pf.佐山こうた b.種石幸也