観劇鑑賞メモ

諸々の自分用メモです。4季のオタクです。

2021年8月21日 4(あうるすぽっと)

初あうるすぽっと。ポストパフォーマンストークあり。

・いい芝居を観たなー

・夢を観てるみたいで2時間休憩なしも居心地良かった。

・当日券も売ってたくらい空きがあって、空いてるとこには布がかかっており(グループごとに一つ空けるようになってた)更にチケットが売れてる席だけ当パンと折込チラシが置いてあった。
空席に布がかかってると寂しくなくていいし分かりやすい。
私のブロックは後方下手で5席あり、そこには私しかいなかった。前の列も一人、後ろの列も一人か二人。

・早く着いた+人が少ないために客席開場前のロビーがすごく静かで、カバンのジッパーを開け締めする音も、トローチを取り出す音も、みんな響いて緊張した。


・誰が誰を演じてるのか、ここはどこなのか、かなり頭を使う。
どうやら無差別殺人の被害者5人の遺族、なんだけど、死刑囚の親を演じたり、人格を渡っている内に混乱したり、無理に解決させたり、満足したり、とにかく「終わりがない」。

・人間の始めたことは人間が終わらせないと。
人を殺した人間を死刑にする、ということに様々な面から関係する人々を演じながら、その問題と向き合い、考え、耐えられず放り投げる人もいれば続ける人もいる。

・誰が人を殺すんだろう。殺すこと、生かすこと、生きること、死ぬこと、そこに合理的な理由はあるんだろうか。

・今井さんの時々錯乱する演技が……。

・「人殺し」という言葉を小学生同士の喧嘩のように言い合うシーンどういうことだろう。

・モノローグがコミュニケーションに発展したときのふしぎさ。

・「死にたいんじゃなくて消えたい」それ…。

・すくう。救う?掬う?

・照明が良かった。

・照明の中でモヤモヤが動いてるので湿度を保つやつかと思ってたけど最後のもやのために焚いてたのか?
あれは焼き鳥屋の煙なのか、精神的な霧なのか。

・今井さんの背筋まっすぐ😊

・一人のモノローグに別の人物が関わるときに移動して「登場」する感じが演劇的だなと。

・首つり装置を見てフリムンシスターズを思い出した。

・音楽の不穏で出口が見えない感じもかっこよい。





・終演後に10分の休憩をはさんでポストパフォーマンストーク
知らなかった(掲示は出てたのに見てなかった)けどゲストは白井さんだった。怪人と探偵、三文オペラの記憶蘇る。
いい声だなー(そこ)

・白井さんの演出ではシアタートラムでアクティングエリアを客席が取り囲む形で、座席は全て取り払われ、観客は箱馬に座って観る形だったらしい。
また観客は入場時に役割の書かれた紙を引かされて、「〜の立場で観てください」とされたらしい。
振られた役割を各々が話す、という戯曲のイメージで。
川村さんは稽古の段階には関わってないので(でも戯曲の完成は稽古終盤だったとか)劇場で客席を見て茫然自失としたらしい。

白井さん
「(今回観て)トラムでやった時は3.11から時間が経ってなくてその痛みがまだある状態でやった、というのを思い出した。」
川村さん
「はじめのモノローグの3つ目を書いてたときに地震があり、余震の中で書いた」

川村さん
アメリカとデンマークでリーディングを、韓国で上演を各国の言語でやっている。」

川村さん曰く、アメリカは州によって死刑があり、デンマークでは既に廃止され、韓国では制度はあるけど長らく執行されてなくて事実上無いようなもの。
(この辺は事前インタビューでも読んだけど)韓国ではセウォル号沈没事故を追悼する主旨の演劇祭で上演され、「し」は日本と同じくdeathを意味するので遺族の気持ちを考えて「FOUR」という副題をつけた。

川村さん自身は死刑制度反対派ではなく、劇中でも言っている通り「一概には言えない」。
池袋のすぐそこの交差点で起きた暴走運転事件のように、自分が遺族という当事者だったらと考えると反対できない。

白井さん
「ヨーロッパでは既に廃止されてる死刑制度が日本では議論が盛り上がらない。
日本だと村八分的なところもある。
裁判員制度も十分に議論されてない、日本の場合は責任の分担というような感じもする。」

川村さん
「死刑は他の刑と違い、決まってから執行までに時間があり、法務大臣が判を押さないと執行されない。だから未決囚という言葉がある。
大雑把に言えば大臣の主義や気分、世論の気分でなされる。
グレーにしてるものが色々ある。
はっきりしない国。
日本で引きずってきた問題があぶり出されたコロナ禍。
ロックダウンも今されたら困るけどはっきりしない。
震災の時の民主党政権にも「日本は駄目だな」と思ったけど今もこの「体たらく」。
先進国じゃないことが分かってしまっている。
(日本も良いところはある、日本人に生まれてよかったし日本を愛してるんだけど、これ言っておかないとね、だからこそ…と現状を批判する川村氏)
この10年で何も変わってない、この国は昔からずっとそうだ。」

「平成の終わりに粗大ごみのように処理されたオウムの死刑囚たち」

(この辺は死刑制度の議論が進まないことについてかな↓)
「元々色々問題はあったのにそれを引きずって今に至る。
高度経済成長期のように奇跡的にうまくいってしまったことがあるから、なんとなくできてしまってきた。
その記憶をひきずってる、オリンピックに対する菅総理の思いはまさしくそれ。
だから前を向きましょう、という芝居(笑)」

司会のライター大堀久美子さんが終盤に
「このままでは危ない、ということを私達一人ひとりが自分の頭で考えていきたいですね」みたいなことを言ってて、全体的に政府批判トークではあったけど特に強く感じたな。



戯曲買うと去年の中止になった公演のポスター差し上げますお声がけください、というのを見て「ポスター貰っても…」と躊躇し開演前は買わなかったけど、観ていて難しくてやっぱり読まないとモヤモヤがモヤモヤのまま消えそうだとか、言葉を漢字でどう表記してるかとか、いまの言葉誰から発せられたか分からなかったなとか思ったので終演後に買った。
ポスターはお声がけしなくても戯曲と一緒に有無を言わさず手渡された。一応「よろしければお持ち帰りください」とのことだったけど聞く前に渡してるゴリ押しっぷり…制作の鑑…。






【作・演出】
川村毅

【出演】
今井朋彦
加藤虎ノ介
川口 覚
池岡亮介
小林 隆