観劇鑑賞メモ

諸々の自分用メモです。4季のオタクとしての感想おおめ。

2022年8月25日夜 劇団チョコレートケーキ 無畏(生き残った子孫たちへ 戦争 六篇)(東京芸術劇場シアターウェスト)

段差がないので舞台前の席の頭は被るけど近くて見やすい席。
これ選んでとったっけ…?近かった。いちいち「近い!!」ってびびった。

同シリーズ、他のも観たかったけど体力とスケジュールと出演者(近藤さん)で絞った。


・舞台の前と後ろの間に溝があって、そこに椅子が並んでる。

・舞台美術の本の積み重なりは、生き残った私達が読み解く資料の多さだと感じた。
が、これが荒らされる民家になる。あれは人々の暮らしであった。

・椅子を死体に見立てる芝居!演劇の勝ちでは!
(勝ちとは)
隠れていた女が見つかりました、から椅子を持ち上げることで椅子を女にして、椅子を倒すことで強姦を表して、放置することで死体にする。
この芝居は女性の出演者がいないので、余計にありありと思い浮かぶ気がする。想像の中に犠牲者がいる。
女性だけじゃなく、「犠牲者」にあたる人が演じられないので、観客が演者の言葉から必死に想像する必要がある、それが劇の力だと思う。
目の前にあるものを見る以外の「鑑賞」をさせられることでしか得られないものがある。

・言葉が難しい…!
特に日記を読み上げる時の内容

・えっセットはアリランと同じなの!?まじか……!

・休憩なし2時間15分、正直意識飛び飛びで観た。
最初に近藤さんが出てきたところでハッとしてしばらく覚醒してた。でも近藤さんずっと出ていない。

・松井役の林さんと上村役の西尾さんの二人芝居のような場面が多い。
時折回想の形で他の人々が出てくる。

・生き残った私達として上村や田村は立っていると思う。
南京事件に関して否定論があったり見方が分かれていることを田村が表している。

・志があればいいわけではない→ともすれば美談になる人物のそういう消費の仕方、「思考停止」を否定している。

・ラスト、最後の最後に「30万人でも3万人でも1人でも、一般人を殺したことは軍司令部と私の罪である」と語る松井と「それが聞けてよかった」という上村。

南京事件が欧米によって裁かれることを理不尽だと思ってる田村が原爆や樺太侵攻・シベリア抑留が裁かれないことを引き合いに出すことについての上村「ぼくそれ否定してませんし?(半ギレ)」客席笑う。
あそこの攻防、現在進行形で存在する議論の立体化だと思うけどコメディ風なのは敢えて?
上村「同じなんですよ、日本人が自国の犠牲者を悼むのと同じように中国の犠牲者を悼もうとしている」

・田村もそうだし、軍司令部の将校たちから差別的な言葉が次々と吐き出されるけど実際にそう思ってる人が今もいるんだもんな。
それも引き継がれた歴史なのだと思う。

・上村は裁判の範疇を超えて、松井が自身の罪をどのように認識しているか理解しようとするので、登場人物の一人というよりは歴史を検証する「子孫」そのものとして存在しているように見える。

・松井が「責任」という言葉で「責任はあるが知らなかった」と言っているように見える、という上村に対して「違う!」と叫ぶように返す松井。

・松井の記憶と心情を掘り下げる、というか一枚ずつ剥いていく過程を通して、「戦争責任とは何か」を検証する芝居。
そこで善か悪かを断じるのではなく、司令部の指示が末端の部下にとって何を意味したか、どんな要因が積み重なったか、という検証を通して具体的な責任が問われていく。
因果関係があればそれは等しく罪である。
じゃあ何が間違いだったのか?という点で「軍人だから突き進んだ」「人間ではなく軍人だ」と主張する松井を抱えあげて投げつけて責める(激しい)くだりによって軍人という言葉の中から野心・虚栄心という言葉を絞り出させてからのあのラスト。
軍人を作ること、戦争を始めることが間違いなのだ、という結論への長く丁寧な検証。

・殺戮を「狩り」と台詞で言われること、なかなかキツイ。

・全体的に本を読まされているような感覚。
どこまで参考文献を使ってるんだろう。

・最後の場面で松井が重なって見える見せ方も「生き残った世代が引き継ぐ」ことを見せていて良いな。

・単純に聞き取りづらい台詞もある。
後ろ向かれるとかなり聞こえづらい。

・慟哭の芝居がすごい林さん

・西尾さん、一九一一と衣裳は似てるのになんかめっちゃインテリメガネであった…話し方も違って聞こえた、すごいな。
一九一一では小さく見えてたけど周りが変わると大きく見える。


スタッフ

脚本    古川 健(劇団チョコレートケーキ)
演出    日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)
舞台美術  長田佳代子/伊東あおい ※5
美術助手  小島沙月
照明    松本大介(松本デザイン室)
音響    佐久間修一(POCO)
音楽    加藤史崇(POCO)
衣装    藤田 友
タブレット字幕 G-marc(株式会社イヤホンガイド)
演出助手  桒原秀一(JAPLIN) ※2
舞台監督  本郷剛史
宣伝美術  R-design
写真    池村隆司
撮影    神之門隆広(tran.cs)
Web    ナガヤマドネルケバブ
制作協力  塩田友克
制作    菅野佐知子(劇団チョコレートケーキ)
企画・製作 一般社団法人 劇団チョコレートケーキ

出演者

浅井伸治、岡本 篤、西尾友樹(以上、劇団チョコレートケーキ)
今里 真(ファザーズコーポレーション)/近藤フク(ペンギンプルペイルパイルズ)/原口健太郎(劇団桟敷童子)/林 竜三/渡邊りょう